降誕節第５主日礼拝
説 教 「心から喜んで」 岸敬雄牧師
聖 書 詩編 ２９編１～３節 ペトロの手紙一１章３〜１２節
本日の新約聖書、ペトロの手紙一の最初の節は、キリスト者に備えられた救いに対する神様への讃美から始まっています。そこには、私たちの救いに重要な事として、私たちを新たに生まれさせてくださったこと、そして主イエス・キリストを死者の中から復活させられたことによって、私たちに、生き生きとした希望を与えてくださったと言うのであります。
私たちの主イエス・キリストを死者の中から復活させられたことによって与えられた希望は、抽象的なものでは無く、私たちが実際に感じとることが出来る生き生きしている望であり、それを与えてくれたと言うのです。逆に言えは、私たちは、主イエス・キリストの復活の希望を生き生きと感じて生きていけると言っているのであり。私たちは今、主イエス・キリストの復活によって与えられた希望を生き生きと生きて行っているでしょうか。
さらにペトロは続いて「あなたがたのために天に蓄えられている、朽ちず、汚れず、しぼまない財産を受け継ぐ者としてくださいました。」というのです。この地上の財産は栄枯盛衰や予期せぬ事件、突然の天災、災害などによって失われてしまう恐れがあります。さらに言うならばこの世の富はこの世だけのものであり、いずれは私たちから離れさっていくものでありましょう。それに対して天にある財産は、その様な不測の事態で失われるような物ではありえない、必ず神様によって与えられるものだと言うのです。
さらに、天に蓄えられているそれは財産を手にすを神によって約束されたると示すことによって、現在抱いている希望が決して空手形になることはないことを示しているのです。しかし、その財産は、現在私たちの手に入っている物では無く、終わりの時にこそ与えられる財産だと、ペトロは承知しているのです。
現在の生活の中にある困難を承知しながらも、財産を受け取ることが生き生きとした希望を持って救いの日が成就する時を待ち望んでいるのです。終わりの時に私たちが受け取る、すなわち私たちの救いが成就する時に受け取ることが出来るために準備がされ、それは、それは私たちが救いを受けるために「神の力により、信仰によって守られています。」というのです。私たちの信仰と共に、神の力により守られていると言うのは、なんと慰めに富んだ言葉でありましょうか。
私たちの信仰は「その試練によって本物と証明され、火で精錬されながらも朽ちるほかない金よりはるかに尊くて、イエス・キリストが現れるときには、称賛と光栄と誉れとをもたらす」というのです。この様に、私たちの信仰も本物だと証明され、私たちを守ってくれるのです。さらに、私たちの信仰と共に、完全な神様の御力によって守られている、言わば二重に守られて行くのです。だからこそ、ペトロは本日の手紙の中で、心から喜んでいると言うのです。
少し前にさかのぼって見て行くと、ペトロが喜んでいる理由の源には、神は豊かな憐れみにより、わたしたちを新たに生まれさせて下さったことであります。それはどの様なここかと言えば、それは、私たちが罪に生きる人生から、罪赦された者として神から見ていただけるものとして、人生を生きて行く様にして下さったのです。
さらに、イエス・キリストが天父なる神によって復活させられたことにより、私たちにも生き生きとした希望を与えて下さったと言っているのです。その希望とは、イエス・キリストのように私たちも復活させていただける希望であり、その希望を持っているからこそ、この地上での人生においても生き生きとした希望を持って生きて行くことが出来ると言っているのです。
先にも言いましたが、この現世ではいろいろな試練に悩まねばならないかもしれないが、心から喜んでいるのだと言うのです。「あなたがたは、キリストを見たことがないのに愛し、今見なくても信じており、言葉では言い尽くせないすばらしい喜びに満ちあふれています。」と言い、見たことの無いキリストを愛して信じ、喜びに満ちあふれていることこそ喜びのもとであり、「あなたがたが信仰の実りとして魂の救いを受けている」ことの喜びにあふれているのです。
ペトロはこの様に喜びに満ちあふれていると言いますがでは、私たちはどうでありましょうか。私たちもキリストを見たことはありませんが、キリストを信じて喜びに満ちあふれることが出来るのであり、信仰の実りとして魂の救いを感じているなら、喜びに満ちあふれることが出来るはずです。私たちも信仰と神の力に守られているのですから。
私たちのためにも「自分たちの内におられるキリストの霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光についてあらかじめ証し」してくださっているのです 。私たちの中にも聖書に出ている使徒たちと同様にキリストの霊が与えられていて、今も証してくださっているのです。
苦難によって、喜びを感じられたい時もあるかもしれませんが、私たちも「イエス・キリストの復活によって、生き生きとした希望」をキリストの霊によって証したれていることを感じつつ喜びを持って歩んでまいりましょう。