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サタンの誘惑

説教「サタンの誘惑」

 岸敬雄伝道師

詩編91編1~3節  マタイによる福音書4章1~11節

 

 皆様は悪魔を見たことがあるでしょうか。私は悪魔の声を聞いたという方のお話しを私は何人か聞いたことがありますが、悪魔をはっきりと見たという方は少ないのではないでしょうか。それであるにもかかわらず悪魔を畏れることは皆さんもあると思います。

 それはお化けなども同様ですが、見た事の無い、正体の分からないものに対する恐れなのではないでしょうか。人間は正体が知れないものを畏れる傾向にあることは確かです。

 この頃、はやっている新型コロナウイルスも、数の上から見れば季節性のインフルエンザより感染者数も死亡者数も少ないのにもかかわらず、インフルエンザ以上の恐怖心を感じているのはそのためではないでしょうか。

 本日の新約聖書には、イエス様が、試みる者によって試みに合う話がありました。この試みる者を悪魔と呼んでいます。

 イエス様は悪魔の試みを受けるために、霊に導かれて荒れ野へと行った。と書かれています。ここで言われている霊とは、確かに聖霊のことであると考えて良いでしょう。

 この試みの出来事は、聖霊の導きによって起こった出来事であるがゆえに、神様の計らいの中で行われていることが確かであると示されているのです。そして、イエス様は、40日40夜断食をなさって空腹を覚えられました。イエス様は完全な神であられたにもかかわらず、私たちの救いのために、私たちと同じ完全な人間にもなって下さったのであります。そして、この40日40夜と言うのはモーセが神の山に登って十戒を受ける時に、山の中で過ごした日にちとも同様で、この40と言う数字には時べつな意味がありそうであります。イエス様は40日、40夜の後試練を受けることと成ったのです。

 初めに悪魔は、「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」と空腹を満たすようにと、言いかえれば肉欲を満たすために神の御子である力を行使したらどうかと誘惑したのであります。それに対してイエス様は「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』と書いてある。」と御言葉を持って答えられたのです。

 次に、悪魔はイエス様を聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、「神の子なら、飛び降りたらどうだ。『神があなたのために天使たちに命じると、あなたの足が石に打ち当たることのないように、天使たちは手であなたを支える』と書いてある。」と御言葉を用いて誘惑してきたのです。

 それに対してイエス様はさらに、「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」と言われ、御言葉によって言い返したのであります。

 更に、悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と要求したのであります。それに対してイエス様は、はっきりと、「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」といわれたのです。

 イエス様は、3番目の試みの時、すなわち、天父なる神様以外のものにひれ伏し拝む様にと要求をされた時に、初めて「退けサタン」と言われたのです。サタンとは神様の行われようとしているみ旨を邪魔しようとする者のことであります。ですから、イエス様の弟子であろうとも、私たち自身もサタンとなる恐れは十分にあるのです。私たちも十分に神様のみ旨を考え、自分の思いではなく神様の思いによって行動するようにしなければなりません。私たちもサタンになってはいけないのであります。

 本日の詩編でも言われているように、私たちはの天父なる神は「わたしの避けどころ、砦わたしの神、依り頼む方」として進んでいかなければならないのです。私たちは、この方に寄り頼み、主イエス・キリストの十字架の恵みを実感しつつ、かつ感謝しつつ今週もまた、一週間歩み続けて参りましょう。

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