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「神の国での食事」

神の国での食事

                  ルカによる福音書14章15~24節 詩編36編6~10節

                                        岸敬雄伝道師

 本日の宴会の譬え話しは、イエス様が、安息日に食事のためにファリサイ派のある議員の家にお入りになった時のお話しです。人々は、イエスの様子をうかがっていた。

 その様な中でイエス様は、水腫を患っている人おいやしになりました。安息日に人を癒しても良いかどうか同席の人たちに問いかけましたが、みんなは何も言うことができませんでした。

 それに続いて、イエス様は宴席につく人が上席から席に着くことを好んでいることをご覧に成って、「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」といわれたのでした。そして、 また、イエス様は招いてくれた人にも「兄弟も、親類も、近所の金持ちも呼んではならない。その人たちも、あなたを招いてお返しをするかも知れないからである。 宴会を催すときには、むしろ、貧しい人、体の不自由な人、足の不自由な人、目の見えない人を招きなさい。 そうすれば、その人たちはお返しができないから、あなたは幸いだ。正しい者たちが復活するとき、あなたは報われる。」と言われたのです。

 この様な一連の流れの中で、食事を共にしていた客の一人が、これを聞いてイエスに、「神の国で食事をする人は、なんと幸いなことでしょう」と言ったのがきっかけで、イエス様は本日の宴会の譬え話しは、語られたのです。

 ここで、宴会のたとえ話を開いているのはどなたでありましょうか。それは、どの様な宴会だったのでしょうか。それは、神の国での宴会だったのではないでしょうか。

 だとすればこの宴会の主催者は神様ご自身となります。神様が開かれた宴会に本来呼ばれていた人々は、神様から呼びかけられて、律法を与えられていた人々に他ならないでしょう。即ち、本日この食事に招かれているファリサイ派の人々をはじめとするイスラエルの人々と言うことになります。その様な人々は宴会があると言う知らせを聞いても、次々に自分の要件を優先して断ってしまうのです。

 それに対してこの宴会を催した主人は、街に出て行ってむりにも人を連れてきてこの宴会を一杯にするようにと言うのであります。

 しかし、言っておくが、あの招かれた人たちの中で、わたしの食事を味わう者は一人もいない。というのです。

今まで自分たちに与えられている神様の招きという恵みを軽んじる者がどの様になるかという効果をこの譬え話からを聞くこともできますが、それとともに、無理やりにでも連れてきて宴会へ参加させたいと言う神様の思いも感じられるのではないでしょうか。

 宴会に初めに招かれた者が断った後に宴会に連れてこられたのは、「貧しい人、体の不自由な人、目の見えない人、足の不自由な人」でした。先にイエス様が「そうすれば、その人たちはお返しができないから、あなたは幸いだ。正しい者たちが復活するとき、あなたは報われる。」と言われた人たちです。ここでイエス様は障害を持った人たちや貧しい人たちを差別しているわけではありません。神の前に貧しく何もお返しできない自分を自覚する事こそが、神の祝編に招かれるのに相応しいことを示さしているのです。

 それでも席がまだ余っていると言われた時に、『通りや小道に出て行き、無理にでも人々を連れて来て、この家をいっぱいにしてくれ、と主人は言うのです。

 さらに次に呼び集められてきた街にいて無理やりにもつれて来られた人々は、街中で何もする事が無い人々で、福音を受け入れる余裕を持っていた人々と言えるのかもしれません。自分では積極的にはイエス様についていこうとしていない人々でも無理にでも連れてくるように、その様に言われるところに神様の愛が表されているのではないでしょうか。もちろん、これはたとえ話ですから、強制して教会に連れて来いと神様がお望みに成っているわけではない事もたしかです。神様が大切に思っていてくださることの一つが私たちの自由意思なのですから。。

 それでも、ある面、私たちも、もしかしたら無理やりに連れてこられたのではないかと思ったこともあったのではないでしょうか。私たちには、もっと楽な楽しい道があったのではないか、などと考えたことはないでしょうか。そんなことを考えると、その時に神様の宴会を断ってしまうことに繋がってしまうかもしれません。

 始めに声をかけられた人々と同じなのかもしれません。神様からの恵みのすばらしさを本日の詩編で歌われていますが、しかし、その様な恵みを感じ取ることができることこそが、私たちにも大切なのではないでしょうか。どの様な時に恵みが注がれるのかが分からないのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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