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主に従いとおしました

主に従いとおしました
大坪章美 牧師

ルカによる福音書 21 章 5 ~ 19 節

ヨシュア記14:6節には、ヨルダン川の西側での、九つ半の部族へ、土地を割り当てた経緯が記されております。しかし、その直前に、割って入るように、ケナズ人、カレブが、ヨシュアの許を訪れた、というのです。カレブが、ヨシュアの許を訪れて言ったこととは、「主が、カデシュ・バルネアで、わたしとあなたのことについて、神の人モーセに告げられた言葉を、あなたはご存知の筈です」という言葉でした。

主なる神様は、12人の斥候の派遣によって、イスラエルの輝かしい勝利への道を計画されていました。カナンの約束の地は、もう、視野に入っていたのです。然し、神の御心に従ったのは、カレブとヨシュアの二人だけでした。この時、斥候に出た12人のうち、あと5人、過半数が神の御心を信じて、勇気を出して、「攻め上る事」を決断していたら、間もなく、イスラエルの民は、約束の地カナンに入る事が出来たのです。

この不信仰に、神様は、憤りを示されました。「この悪い世代の人々で、約束の地を見る者はいない。但し、カレブとヨシュアだけは例外である」と、言われました。神の御旨に従っておれば、間もなく、約束の地に入れたのに、斥候の殆どが怖気づいたために、さらに38年間を要することになったのでした。

今、カレブは、ヨシュアに対して、言っています。「一緒に行った者たちは、民の心を挫きましたが、私は、私の神、主に従いとおしました」と訴えています。

その時から、1300年余りも後の、時は紀元30年頃、場所はエルサレムの神殿です。ある時、イエス様は、ご自分のそばにいる人たちが、エルサレム神殿の、あまりの壮大さとその麗しさをほめ讃えている会話を耳にされました。イエス様は仰いました。6節です、「あなたがたは、これらの物に見とれているが、一つの石も、崩されずに、他の石の上に残ることのない日が来る」と預言されました。ユダヤ人たちにとっては、想像もできないことでした。栄光に輝く神殿が、跡形も無くなるなど、考えも及ばないことでした。

イエス様のお言葉に、信じられない、という面持ちで、彼らがイエス様に尋ねました。「先生、では、その事は、いつ起こるのですか。又、その事が起こる時には、どんな徴があるのですか」と、お尋ねしたのです。

イエス様は、預言されました、「民は民に、国は国に、敵対して立ち上がる。恐ろしい現象や著しい徴が天に現れる」と、話されました。イエス様は、「それらは、終末、そのものではない」と、仰るのです。そして、このような、「いろいろな恐ろしいことや、天からの、凄まじい前触れ」が、起きる前に、「もっと、重要なことが起きる」と、預言されたのです。イエス様は仰いました。「人々はあなたがたに手を下して、迫害し、会堂や、牢に引き渡し、わたしの名のために、王や、総督の前に引っ張って行く」と、預言されました。

しかし、イエス様が仰ったのも、決して、悲観して言われたお言葉ではありません。むしろ、積極的に、「それは、あなた方にとって、証しをする機会となる」と、仰っています。イエス様のために受ける苦難は、必然的に、“福音の前進”を伴なうからです。

そして、その時は、「あなたがたが、前もって弁明の準備をする必要はない」と、言われております。なぜならば、イエス様ご自身が、「どんな反対者でも、対抗も、反論も、出来ないような言葉と、知恵を、あなたがたに授けるから」と、約束されているのです。

しかし、イエス様は約束して下さいます。「あなたがたの、髪の毛一本も、決して無くならない。忍耐によって、あなたがたは命を勝ち取りなさい」と命じられました。「最後まで、信仰を持って耐え忍ぶ者」とは、どういう人のことを言うのでしょうか。それは、「聖書の御言葉に堅く立つ人」です。

茲で、私達はケナズ人のカレブがヨシュアに伝えた言葉を思い起こします。「一緒に行った者達は、民の心を挫きましたが、私は、私の神、主に従い通しました」と主張しました。イエス様が約束して下さる「忍耐によって、あなた方は命を勝ち取りなさい」とは、「カレブのように行動しなさい」という命令に外なりません。

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