過去の説教

真の救い主、神の霊

真の救い主、神の霊
大坪章美 牧師

ヨハネの手紙一 4 章 7-13 節

ホセア書13:4では、モーセがシナイ山で神から授けられた十戒の内、第一戒が語られました。「わたしこそあなたの神、主。エジプトの地からあなたを導き上った。わたしの外に、神を認めてはならない。わたしの外に救い得る者はない」と宣言されました。偶像崇拝は、主なる神ヤハウェの外に、神を認める事です。

この預言者ホセアが、改めて語り直した十戒の第一戒、「わたしこそあなたの神、主。・・わたしの外に、救い得る者はない」という、神の言葉の実現が、主イエス・キリストの誕生でした。ホセアの時代から八百年もの時が流れて、紀元80年代の終わり頃、イエス様の12弟子の一人ヨハネは、ヨハネの手紙一を著して、小アジア、今のトルコの各教会宛てに送りました。

この時代も、ホセアが生きていた時に、偶像礼拝が盛んに行われ、真の神を見失いそうになっていたように、キリスト教会を取り巻く環境には異端思想が現れていました。今日お読み頂きました、ヨハネの手紙一の4:1節には、「愛する者達、どの霊も信じるのではなく、神から出た霊かどうかを確かめなさい」と記されています。何故ならば、その頃に、偶像礼拝ではなく、異端思想の脅威が迫っていたからです。偽預言者達は、“霊”を頼みとして、「自分達は、特別な霊の啓示を受けている」と自慢していました。そこで、ヨハネは、その偽預言者達が言う“霊”なるものが、嘘か真か、を確かめる方法を教えたのです。それが2節に記されている方法です。そこには、「イエス・キリストが、肉となって来られたという事を、公けに言い表す霊は、全て神から出たものです」と、記されています。

ヨハネは、7節からは、“神の真の愛”について述べ始めます。「愛する者達、互いに愛し合いましょう」と呼びかけました。8節のヨハネの言葉は、「愛することのない者は、神を知りません。神は愛だからです」と、記されています。わたし達、キリスト者は、神に選ばれ、愛され、イエス様に従う者となりました。わたし達の内には愛が溢れ、兄弟姉妹、互いに愛し合う者と、なって行くのです。10節には、「わたし達人間の“愛”の根源は、神にある」という真理が明らかにされています。「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました」と、述べています。

こうして、著者ヨハネは、この、計り知れない神の愛を示された今、わたしたち人間の取るべき行動を、勧めるのです。11節で、「愛する者たち、神が、このように、わたしたちを愛されたのですから、わたしたちも互いに愛し合うべきです」と、述べています。

今、わたし達は、計り知れない恵みによって、神様から、“御独り子を、いけにえにする”、という大きな愛を示され、わたし達ひとりひとりが、永遠の命を生きることが出来るようになったのです。この神様の愛に、どのようにして、お返しすれば良いのでしょうか。
12節でヨハネは言っています、「未だかつて、神を見た者はいません。わたし達が互いに愛し合うならば、神はわたし達の内に留まって下さり、神の愛が、わたし達の内で、全うされているのです」と記しています。

ヨハネは、さらに大切なことを語りました。13節です。「神は、わたし達に、ご自分の霊を、分け与えてくださいました」と記しています。わたし達人間が、神様に、直接に“愛”をお返しする事は困難です。然し、わたし達が互いに愛し合うことで、“神に対する愛”が完成されます。そうしますと、神様は、「ご自分の霊を、わたしたちに分け与えて下さる」のです。“霊”は、神と、キリストの内に、内在しています。そして、その霊を、わたしたちに分け与えてくださる時、わたしたち自身が、神様と、イエス様の内に留まるのです。

この事が目に見えて起きた事がありました。イエス様が復活されて50日目の事。エルサレム神殿の一角に集まって居た弟子達120名程の上に、聖霊が降ったのです。今日、6月4日は聖霊降臨日に当たります。

そして、この出来事は、預言者ホセアが語った神の言葉、「わたしのほかに、救い得る者はない」という預言が成就した日でもありました。

アーカイブ