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永遠に続く国

永遠に続く国
大坪章美

ヨハネの黙示録 12 章 7-11 節

ダニエル書の著者であり、預言者であるダニエルは、その頃、ユダヤの捕囚の民として、バビロニアの首都、バビロンに囚われの身でありました。それは、紀元前604年の出来事ということになります。ネブカドネツァル王は何度か夢を見て、その夢に対する不安から、眠れなくなった、と言うのです。王は、占い師、祈祷師、まじない師、賢者を命令によって呼び出して、自分が見た夢の説明をさせようとしました。王の命令は、「もし、お前たちがわたしの見た夢を言い当て、その解釈をしてくれなければ、おまえたちの体を八つ裂きにし、お前たちの家も打ち壊す」という、難しい注文でした。ダニエルは、侍従長のところへ行って、「バビロンの知者を、殺さないでください。わたしを王様の許に連れて行って下されば、王様に夢の解釈を申し上げます」と、言いました。

その夢は、巨大な立像でした。この、威容を誇る巨大な立像は、一番上の頭から足元に行くほど、質の悪い金属で出来ていますので、奇妙なことですが、足の部分が一番弱い状態でした。足は、一部が鉄で、一部が陶土で出来ていましたので、神秘的な石がぶつかりましたら、この巨大な立像自体は、粉々に打ち砕かれて、もみ殻のように吹き飛ばされて、跡形も無くなったのです。そして、この立像の足を打った石は、どんどん大きくなって、全地に広がった、という夢でした。

ネブカドネツァル王が見た夢の中の巨大な立像は、頭が純金、胸と腕が銀、腹と腿が青銅、すねと足の一部が鉄で出来ていました。この四つの異なった金属で出来た部分は、これから相次いで起こる四つの王国を表していると説明しました。ダニエルの夢解きは続きます。「この王達の時代に、天の神は一つの国を興されます。この国は永遠に滅びることなく、その主権は、他の民の手に渡ることなく、全ての国を打ち滅ぼし、永遠に続きます」と説明しました。ダニエルは今や、人間の手によって作られた諸々の世界帝国は、破滅に向かっていると夢解きをしています。次に続くのは、「人の手によらず、山から切り出された石が自ら大きな山となり全地に広がった」と説明しています。「人の手によらず、山から切り出された石」が、「聖霊によって宿り、乙女マリアよりお生まれになったキリスト・イエスを指している」という事は良く知られています。

この、ダニエルがネブカドネツァル王の夢解きをした時から、六百年程も後の、紀元95年頃の事、場所はパトモス島です。ここで、イエス様が愛された12弟子の一人、ゼベダイの子ヨハネが、この島でイエス・キリストから啓示を受けて、ヨハネの黙示録を著わしたと言われています。ヨハネは、ある主の日のこと、霊に満たされていましたが、礼拝に集まっている集会との結び付きを感じました。そして、今後、起ころうとする事について、ヨハネが書き始める前に、自分の前に、天の扉が開かれているのを見たのです。そして、ヨハネが最初に聞いた、あのラッパのように、大きく響く声が、「ここへ昇って来い。この後、必ず起こることをあなたに示そう」と、ヨハネに命令したのでした。

ヨハネは、「第7の天使がラッパを吹いた」と記しています。そうすると、神の究極的な勝利を讃える天の讃美歌が歌い出されました。「この世の国は、我らの主とそのメシアのものとなった。主は、世々限りなく統治される」と賛美したのです。今や、神とメシアとの支配が現れた、と喜びの声を上げています。神とメシアにこそ、全ての支配と、救いと力が相応しいのです。

この、「今や、我々の神の救いと、力と支配が現れた。神のメシアの権威が現れた」と讃えられている言葉の中の、「神のメシア」とは、イエス・キリストを指しています。この賛美こそ、ダニエルがその謎を解き明かしたネブカドネツァルが見た夢の中の、「この王たちの時代に、天の神は一つの国を興されます。この国は永遠に滅びる事なく、その主権は、他の民の手に渡る事なく、すべての国を打ち滅ぼし、永遠に続きます」と説明した、夢の実現です。私達は、この、計り知れない神の摂理のうちに守られ、平安と、大いなる希望を持って生きることができる恵みを、感謝したいのです。

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