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イエスに従う

イエスに従う
梅田憲章

シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。

マタイによる福音書 16章13-20節

ガリラヤの北、ヘルモン山のふもとの風光明媚な街、ピリポ・カイサリアに、イエスが今までの活動の集大成を決めようとする時と所が備えられました。それまで病気の人々を癒す旅を続け、貧しさ、苦しみ、悩みにあえぐ人々に福音を述べ伝え、多くの弟子たちを教育してきたイエス・キリストが、これまで教えてきた事柄、福音の内容は(マルコによる福音書1章15節)によると「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」という救いでした。

イエスはそこで、弟子たちに「人々は、人の子を何者といっているか?」と尋ねました。

弟子たちはイエスに、人々がイエスのことを「1.洗礼者ヨハネ(――人々が旧約聖書で神様から約束されたように神の国を受け入れるように準備する者)」「2.エリヤ(――預言者の中で最も偉大な者)(旧約
聖書の最後の預言者マラキはメシアの再臨の前に先駆者としてエリヤが到来することを預言しています(マラキ3章23節)。「3.エレミヤ」(エレミヤは苦難の僕イエスに最も似た人物で、ユダヤの危機に現われる救援者と考えられていました。)「4.預言者の一人」といっていると答えました。これらの答えの共通点はみな復活を前提としていること、過去の人物と結びついていることでした。人々は、イエスが偉大な人物であることを見抜いてはいましたが、終末のメシア、救い主であることを見落としていたのです。イエスの、人々は人の子をなんと言うのかという問いに対して、人の子として偉人を並べあげたのでした。

弟子たちにとって、他人の意見を語るときは気楽でもありました。しかし、「それでは、あなた方はわたしを何者だというのか」という弟子たちに対するイエスの問いかけに、ペトロたちは態度を改めるのでした。シモン・ペトロは弟子たちを代表して、「あなたはメシア、生ける神の子です。」と答えました。ペトロは、キリスト信仰を告白したのです。

(ローマ10:9-10)にパウロのキリスト信仰告白がなされています。信仰義認とよばれといるところです。

「口でイエスは主であると公に言い表し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われるからです。実に、人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われるのです。」

パウロと同じように、ペトロも弟子たちも「あなたがたは」と逃げようのない質問をイエスにぶつけられ、口で告白することを強要されるのです。ペトロの答えはパウロの告白と同じでした。「あなたはメシア、生ける神の子です。」であったのです。

のちにペトロは、イエスが捕らえられた時、「お前もイエスの仲間だ」と問い詰められ、三度もイエスを知らないと否認することになります。ぺトロは、主イエス・キリストをメシアと告白しつつ、後になって、否定するのです。主はそのような迷い多く、弱いものをあえて選ばれたといえます。

私たちの信仰についても、同じことがいえます。一度信仰告白をしたら、それが変わらないのではなく、告白は理解の表明に過ぎません。

「私を離れてはあなたがたは何もできない。」(ヨハネ15:5)と、主が語られているとおり、私たちは主から離れては何も出来ないのです。一生懸命働いても、主の教会の実りではなく自分の実りを誇ることに終わってしまう。

「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。あなたがたが出かけて行って実を結び、その実が残るようにと、また、わたしの名によって父に願うものは何でも与えられるようにと、わたしがあなたがたを任命したのである。」(ヨハネ15:16)

私たちはイエスに叱責されるようなことを多く行う。しかし、その叱責を受けるからこそ、安心して「あなたはメシア、生ける神の子・キリストです。」と告白できるのです。

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